6年間
毎年見ていたあの桜を見なくなって
4度目の春が去っていった。
絶えない笑い声
くだらないおしゃべり
中途半端な反抗…
思い出すのはどれも微笑ましい光景ばかり。
目を瞑るとはっきりと目の前に現れる。
みんなは地元の中学に入学する中、
僕は遠い中学に入学した。
ちょっとだけね、後悔したこともあったんだ。
だけどもう、僕らは中学を卒業し、高校生になった。
風の便りによれば、就職した子もいるんだってね。
みんな別々の道を歩み始めたんだ。
なのに僕は
まだ4年前と同じコマの上にいる。
みんなはとっくに
サイコロを振ってゴールに向かっているのにね。
僕は駄々をこねているんだ。
大人になりたくない。
大きな世界へ飛び出したくない。
あの光景を、忘れたくない。
でももうそろそろ
進まなきゃいけないんだろうね。
ゲームオーバーになる前に
みんなに追いつかなきゃ。
待っててね、みんな。
僕はすぐに追いついてみせるよ。
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